オリジナル解説 / 網膜硝子体

黄斑上膜と黄斑円孔 —OCTでの見分けと手術のタイミング

二つを分けて考える

黄斑上膜(ERM)と黄斑円孔(MH)は、いずれも後部硝子体剥離(PVD)に伴う黄斑部への牽引を背景とするが、膜が網膜を接線方向に引くのか(ERM)、中心窩が前方に引かれて開くのか(MH)という違いがあり、症状・手術適応・術後経過が異なる。OCT による断面把握が診断の中心である。

黄斑上膜(ERM)

特発性(PVD後の細胞増殖)が大半で、続発性として網膜裂孔・光凝固後、網膜剥離術後、ぶどう膜炎、網膜静脈閉塞症がある。症状は変視症と矯正視力低下で、Amsler チャートと自覚的な歪みの程度が手術判断に効く。

  • 眼底所見:網膜表面の反射亢進(cellophane macular reflex)、網膜血管の牽引・蛇行、黄斑部の皺襞。
  • OCT:網膜表面の高反射膜、網膜厚の増加、中心窩陥凹の消失、内層の異所性網膜層(ectopic inner foveal layer)。牽引が強いと偽円孔分層黄斑円孔を呈することがあり、全層円孔との区別が必要になる(分層円孔・偽円孔・網膜分離は 2020 年の国際分類で整理された)。
  • 手術:硝子体切除+膜剥離(±内境界膜剥離)。視力低下や変視が生活に支障を来した時点が一般的な適応で、極端に進行してからでは視力・変視の改善が限られる。内境界膜剥離は再発を減らす一方、術後に網膜内層の変化(DONFL)や感度低下の報告があり、適応は術者により考え方が分かれる。

黄斑円孔(MH)

中心窩の全層欠損で、中心暗点と強い変視を生じる。中高年女性にやや多い。

  • 病期:Gass 分類(stage 1 切迫円孔 → stage 4 PVD 完成を伴う全層円孔)。OCT では円孔の最小径と、周囲の嚢胞様変化・網膜下液を評価する。
  • 手術:硝子体切除+内境界膜剥離ガスタンポナーデ+術後のうつむき姿勢が標準で、閉鎖率は高い(多くの報告で 90% 以上)。大径円孔・慢性例・強度近視眼では閉鎖率が下がるため、内境界膜翻転法(inverted ILM flap)などの工夫が用いられる。
  • 強度近視の黄斑円孔網膜剥離は別カテゴリーとして扱い、後部ぶどう腫・網膜分離を含めた術式選択が必要になる。

手術時期の考え方

ERM は「待てる」病態で、視機能への影響が出た時点で手術を検討する。一方、全層 MH は閉鎖しやすいうちに手術したほうが視力予後がよい傾向があり、放置期間が長いほど不利になる。「様子を見ましょう」の意味が二つで異なることを、患者説明の場面でも分けて伝えたい。

術後の注意

  • 白内障の進行:有水晶体眼では硝子体手術後に核硬化が進むため、同時手術の是非をあらかじめ相談する。
  • タンポナーデ後の体位・航空機搭乗の禁止(ガス残存中の気圧変化は危険)。
  • 視野・眼圧の経過:内境界膜剥離後の網膜感度や、術後の眼圧上昇にも注意する。

関連リンク


主な参考:Gass 分類/International Vitreomacular Traction Study (IVTS) の硝子体黄斑界面分類/Hubschman らによる分層黄斑円孔・偽円孔の分類(Br J Ophthalmol 2020)/EyeWiki "Epiretinal Membrane"・"Macular Hole"。術式の詳細は成書と術者の方針による。

この記事は AI(手動(Claude+収集記事))が作成した解説です。 正確性を保証するものではありません。診療上の判断は必ず一次情報・成書をご確認ください。 (2026-07-23 作成)