オリジナル解説 / 緑内障

トラベクレクトミー —濾過胞をつくる手術と術後管理

位置づけ

線維柱帯切除術(トラベクレクトミー)は、強膜弁の下に房水の流出路を作り、結膜下の濾過胞へ房水を逃がす術式である。大きな眼圧下降が得られるため、点眼・レーザー・MIGS で目標眼圧に達しない例や、進行が速く低い目標眼圧が必要な例の標準的な選択肢であり続けている。その代わり、術後管理の巧拙が結果を決める手術でもある。

手術の要点

  • 結膜切開:円蓋部基底と輪部基底のいずれかを選ぶ。将来の再手術に備え、結膜の温存を意識する。
  • 代謝拮抗薬マイトマイシン C(あるいは 5-FU)を強膜弁周囲に作用させ、線維芽細胞の増殖による濾過路の閉塞を抑える。濃度・時間・塗布範囲は、濾過胞を広く低く作る方向で調整する。
  • 強膜弁と強膜床切除・周辺虹彩切除:房水流出量は強膜弁の縫合で調整する。縫合が緩すぎれば低眼圧、きつすぎれば眼圧不足となるため、術後にレーザー切糸(suture lysis)や調節縫合で微調整できるように設計する。

術後管理

トラベクレクトミーは「術後数か月の外来管理を含めて一つの手術」である。

  • 眼圧が高い場合:濾過胞のマッサージ、レーザー切糸・調節縫合の抜糸、必要に応じニードリング(癒着した濾過胞の剥離、代謝拮抗薬併用)。
  • 眼圧が低すぎる場合低眼圧黄斑症(脈絡膜皺襞と視力低下)、浅前房、脈絡膜剥離。房水漏出(Seidel 陽性)の有無を確認し、漏出があれば圧迫眼帯・縫合・再建を検討する。
  • 炎症の抑制:ステロイド点眼を頻回から漸減し、瘢痕化を抑える。
  • 濾過胞の観察:血管の少ない、やや隆起した薄い濾過胞が理想。壁の薄い嚢胞状濾過胞は感染リスクとなる。

濾過胞関連感染症

術後は期限のない合併症として濾過胞炎・眼内炎のリスクが残る。充血・眼脂・視力低下・眼痛が出たらその日のうちに受診するよう、患者に繰り返し説明する(コンタクトレンズや汚れた水への曝露も避ける)。発症時は培養と強力な抗菌治療、眼内炎に至れば硝子体内注射・硝子体手術を要する。

代替・併用となる術式

  • チューブシャント手術(緑内障インプラント):結膜の瘢痕が強い再手術例、血管新生緑内障やぶどう膜炎続発緑内障など、濾過手術の成績が落ちる病態で選択されることが多い。
  • マイクロシャント(結膜下ドレナージ):低侵襲寄りだが濾過胞を作るため、管理はトラベクレクトミーに準じる。
  • 毛様体光凝固:房水産生を減らす。難治例・視力予後不良例で用いられる。

まとめ

トラベクレクトミーは下降幅と引き換えに管理コストと合併症リスクを引き受ける手術である。適応は「目標眼圧に届かず、進行が続いている」ことに尽き、術後は眼圧・濾過胞・前房を細かく追い、必要な介入を早めに行うことが視野を守る。

関連リンク


主な参考:日本緑内障学会「緑内障診療ガイドライン(第5版)」/Tube Versus Trabeculectomy (TVT) Study/Collaborative Initial Glaucoma Treatment Study (CIGTS)/EyeWiki "Trabeculectomy"。術式の細部と代謝拮抗薬の使用法は施設・術者により異なる。

この記事は AI(手動(Claude+収集記事))が作成した解説です。 正確性を保証するものではありません。診療上の判断は必ず一次情報・成書をご確認ください。 (2026-07-23 作成)