オリジナル解説 / 緑内障

原発閉塞隅角緑内障(PACG)と急性緑内障発作

概要

原発閉塞隅角緑内障(primary angle-closure glaucoma; PACG)は、隅角(房水の流出路)が虹彩により物理的に閉塞し眼圧が上昇する緑内障である。急性緑内障発作(急性原発閉塞隅角症; APAC)は眼科救急の代表であり、放置すると数日で不可逆的な視機能障害をきたす。日本では遠視・浅前房・高齢・女性に多く、失明予防に早期診断と隅角開大処置が重要である。

病態と分類

開放隅角(正常) 隅角◯ 瞳孔ブロック(閉塞) 虹彩膨隆
図1. 瞳孔ブロック。水晶体と虹彩後面の接触で房水の前房流入が妨げられ、後房圧上昇により虹彩が前方に膨隆して隅角を閉塞する。
  • 機序:多くは相対的瞳孔ブロック。水晶体前面と虹彩の接触で後房→前房の房水流出が妨げられ、虹彩が前方膨隆して隅角を閉塞する。プラトー虹彩など非瞳孔ブロック機序もある。
  • 病期分類:原発閉塞隅角疑い(PACS)→原発閉塞隅角(PAC、周辺虹彩前癒着や眼圧上昇あり)→原発閉塞隅角緑内障(PACG、緑内障性視神経症あり)
  • 急性発作の誘因:暗所での散瞳、うつむき姿勢、抗コリン薬・交感神経刺激薬、ストレスなど。

症状と診断

  • 急性発作の症状:急激な眼痛・頭痛・充血・霧視・虹視(光の周りに輪)、悪心・嘔吐。全身症状が前面に出て消化器・脳疾患と誤診されることがある。
  • 所見:著明な眼圧上昇(しばしば40〜80mmHg)、毛様充血、角膜浮腫、中等度散大した対光反応不良の瞳孔、浅前房。
  • 隅角鏡検査(gonioscopy)が診断の要。前眼部OCT・超音波生体顕微鏡(UBM)で隅角形態・プラトー虹彩を評価。必ず僚眼も評価(対称的に浅前房のことが多い)。

治療

  • 急性発作は緊急対応
  • 薬物で速やかに眼圧下降:点眼(β遮断薬、α2作動薬、ピロカルピン)、炭酸脱水酵素阻害薬(アセタゾラミド)内服・静注、高浸透圧薬(グリセロール・マンニトール)。角膜浮腫改善後にピロカルピンで縮瞳。
  • レーザー虹彩切開術(LI/LPI):瞳孔ブロックを解除する根治的処置。角膜浮腫が引き次第施行。
  • 難治例は水晶体摘出(白内障手術)が前房を深くし隅角を開大する有効な治療。近年は発作眼・PACG眼で早期の水晶体摘出が選択されることが増えている。
  • 僚眼への予防的レーザー虹彩切開/水晶体摘出を検討する(発作リスクが高い)。
  • 慢性PACG:隅角開大処置後も眼圧が高ければ開放隅角緑内障に準じた点眼・手術(線維柱帯切除術など)を行う。

予防・注意

浅前房・遠視の高齢者では散瞳検査時の閉塞リスクに留意する。抗コリン作用のある薬剤(一部の感冒薬・抗うつ薬・鎮痙薬)の添付文書に「閉塞隅角緑内障で禁忌」とあるのはこのためで、リスク眼では虹彩切開後なら多くが使用可能となる。EAGLE試験では早期水晶体摘出がLIより費用対効果・QOLで優れると報告された。

まとめ

PACGは隅角閉塞による眼圧上昇の緑内障で、急性緑内障発作は失明を招きうる眼科救急である。急激な眼痛・頭痛・虹視・悪心を見たら眼圧・隅角を評価し、薬物で速やかに眼圧を下げてレーザー虹彩切開や白内障手術で隅角を開大する。僚眼の予防処置も忘れない。


主な参考:日本緑内障学会「緑内障診療ガイドライン」/EAGLE試験(早期水晶体摘出 vs レーザー虹彩切開)/ZAP試験(PACSへの予防的LPI)/米国AAO PPP "Primary Angle-Closure Disease"。薬剤・手技選択の詳細は各学会指針・原著で確認されたい。

この記事は AI(手動(Claude+Web調査))が作成した解説です。 正確性を保証するものではありません。診療上の判断は必ず一次情報・成書をご確認ください。 (2026-07-22 作成)