オリジナル解説 / その他

眼窩蜂窩織炎と眼窩の急性疾患 —隔膜前か後ろかで分ける

最初の分岐:眼窩隔膜の前か後ろか

まぶたが赤く腫れた患者を見たとき、眼窩隔膜より前(preseptal)か後ろ(orbital)かを判断することが、緊急度と治療方針を分ける。

眼窩隔膜前蜂窩織炎 眼窩蜂窩織炎
眼球突出 なし あり
眼球運動 正常・疼痛なし 制限・運動時痛
視力・RAPD 正常 低下・RAPD が出うる
全身状態 比較的良好 発熱・全身症状
対応 経口抗菌薬・外来管理が可能なことも 入院・点滴・画像評価

眼球突出・眼球運動制限・視力低下・RAPD のいずれかがあれば眼窩蜂窩織炎として扱い、造影CT(副鼻腔を含む)で眼窩膿瘍・骨膜下膿瘍・副鼻腔炎を評価する。

眼窩蜂窩織炎

  • 原因副鼻腔炎(特に篩骨洞)からの波及が最多。外傷、眼瞼・涙嚢の感染、歯性感染、術後。小児では急速に進行しうる。
  • 起炎菌:黄色ブドウ球菌、連鎖球菌、嫌気性菌など。MRSA の可能性も念頭に置く。
  • 治療入院のうえ広域抗菌薬の経静脈投与。耳鼻咽喉科と連携し、骨膜下膿瘍・眼窩膿瘍があれば排膿(ドレナージ)を検討する。
  • 合併症視神経障害による失明、海綿静脈洞血栓症、髄膜炎、脳膿瘍両眼の症状、脳神経障害(III・IV・V1・VI)、意識障害は海綿静脈洞血栓症を示唆し、極めて緊急性が高い。

見逃してはいけない類似疾患

  • 眼窩真菌症(ムコール症・アスペルギルス)糖尿病ケトアシドーシス、免疫抑制状態、血液疾患が背景。鼻腔・口蓋の黒色壊死組織、急速な進行、強い疼痛。外科的デブリードマンと抗真菌薬を要する致死的疾患で、「抗菌薬が効かない眼窩蜂窩織炎」では必ず疑う。
  • 特発性眼窩炎症(眼窩炎性偽腫瘍):亜急性の疼痛・眼球突出・複視。ステロイドが著効するが、IgG4関連疾患・リンパ腫・肉芽腫性疾患(GPA)との鑑別のため、非典型例では生検を考える。
  • 甲状腺眼症の急性増悪視神経症を伴う場合は緊急
  • 眼窩腫瘍:小児では横紋筋肉腫(急速な眼球突出)、神経芽腫の転移。成人ではリンパ増殖性疾患、涙腺腫瘍、海綿状血管腫、転移性腫瘍。「進行の速さ」と「疼痛の有無」が鑑別の軸になる。
  • 頸動脈海綿静脈洞瘻拍動性眼球突出、雑音、結膜血管の螺旋状拡張(corkscrew vessels)、眼圧上昇。外傷後にも自然発症にも起こる。

外傷:眼窩底骨折

  • 所見:眼窩周囲の腫脹・皮下気腫、上方視での複視、眼球陥凹、眼窩下神経領域の知覚低下
  • 小児の white-eyed blowout fracture:外見上ほとんど腫れがないのに下直筋が絞扼され、強い悪心・嘔吐・徐脈(眼心臓反射)を伴う。緊急手術の適応であり、「見た目が軽い=軽症」ではない点が最大の落とし穴。
  • 成人:複視・眼球陥凹の程度と画像所見で、待機的な整復手術を検討する。

実務のまとめ

  1. まぶたの腫れ → 眼球突出・眼球運動・視力・RAPD を必ず確認
  2. 眼窩の所見があれば画像(造影CT)と入院治療、耳鼻科と連携
  3. 改善しない・糖尿病/免疫抑制がある → 真菌症を疑う
  4. 外傷で嘔吐・徐脈を伴う小児 → 絞扼型骨折を疑い緊急対応

関連リンク


主な参考:Chandler 分類(眼窩感染症の病期)/EyeWiki "Orbital Cellulitis"・"Orbital Floor Fracture"/日本眼科学会・関連学会の眼窩疾患に関する総説。抗菌薬の選択は各施設のアンチバイオグラムと感染症科の助言に従うこと。

この記事は AI(手動(Claude+収集記事))が作成した解説です。 正確性を保証するものではありません。診療上の判断は必ず一次情報・成書をご確認ください。 (2026-07-23 作成)