オリジナル解説 / 神経眼科

乳頭浮腫と特発性頭蓋内圧亢進症 —見逃せない「両眼の腫れた乳頭」

用語の整理

  • 乳頭浮腫(papilledema)頭蓋内圧亢進による視神経乳頭の腫脹。原則両眼性
  • 視神経乳頭腫脹(disc swelling):頭蓋内圧亢進以外の原因(視神経炎、AION、糖尿病乳頭症、浸潤・圧迫、高血圧性)も含む広い呼び方。

この区別は、「腫れた乳頭を見たら、まず頭蓋内圧亢進を除外するかどうか」という次の一手を決めるため、実務上とても重要である。

所見

  • 乳頭縁の不明瞭化、乳頭の隆起、網膜静脈の拡張・自発静脈拍動の消失、乳頭周囲の線状出血・軟性白斑、Paton 線
  • 視力は初期には保たれることが多く、「見え方は普通です」という訴えで安心してはいけない。
  • 視野マリオット盲点の拡大が早期の典型。進行すると鼻下方の欠損、末期には求心性狭窄と視力低下。
  • 一過性視力障害(transient visual obscurations):数秒の暗転を体位変換で反復する。頭蓋内圧亢進を示唆する重要な症状。
  • 外転神経麻痺を伴うことがある(局在を示さない)。

鑑別として、偽乳頭浮腫(視神経乳頭ドルーゼン、遠視眼の乳頭、有髄神経線維)がある。眼底自発蛍光・超音波Bモード・OCT(乳頭ドルーゼンの同定)で区別する。誤って頭蓋内精査に回すコストと、見逃すリスクを天秤にかけるなら、判断に迷う両眼性の腫脹は精査へ回すのが安全側である。

頭蓋内圧亢進の原因

脳腫瘍・出血・水頭症・静脈洞血栓症・髄膜炎などの器質的原因を画像で除外したうえで、特発性頭蓋内圧亢進症(IIH)を診断する。

特発性頭蓋内圧亢進症(IIH)

  • 典型像肥満のある若年女性頭痛拍動性耳鳴、一過性視力障害、複視(外転神経麻痺)。
  • 診断(Dandy 基準の考え方):①頭蓋内圧亢進の症状・所見、②神経学的には外転神経麻痺以外の巣症状がない、③画像で占拠性病変・水頭症・静脈洞血栓症を除外(MRI+MRV)、④腰椎穿刺で髄液圧の上昇(成人でおおむね 250 mmH₂O 超)かつ髄液性状は正常
  • 薬剤・背景:ビタミン A 誘導体、テトラサイクリン系、急激な体重増加、ステロイドの離脱などが関連しうる。

治療

  1. 減量:IIH の治療の柱であり、体重減少で症状・乳頭浮腫が改善することが示されている。
  2. アセタゾラミド:髄液産生を減らす。IIHTT(Idiopathic Intracranial Hypertension Treatment Trial)では、減量+アセタゾラミドが減量単独より視野障害を改善した。忍容性(しびれ・味覚異常・倦怠感)に注意。
  3. 視機能が急速に悪化する例(fulminant IIH)視神経鞘開窓術や髄液シャント術、静脈洞狭窄例では静脈洞ステント留置が検討される。
  4. 頭痛の管理:頭蓋内圧が下がっても頭痛が残ることがあり、神経内科と協働する。

経過観察

視野(自動視野計)と乳頭所見・OCT の乳頭周囲網膜神経線維層厚を定期評価する。乳頭浮腫が長引くと不可逆的な視神経萎縮に至るため、「頭痛が軽くなった」ではなく視野が守れているかで治療効果を判定する。

関連リンク


主な参考:IIHTT(JAMA 2014, アセタゾラミド+減量)/改訂 Dandy 基準(Friedman ら, Neurology 2013)/EyeWiki "Idiopathic Intracranial Hypertension"・"Papilledema"。髄液圧の基準値や治療適応は年齢・体位・測定条件で変わるため原著を確認されたい。

この記事は AI(手動(Claude+収集記事))が作成した解説です。 正確性を保証するものではありません。診療上の判断は必ず一次情報・成書をご確認ください。 (2026-07-23 作成)