オリジナル解説 / 神経眼科
前部虚血性視神経症(AION)—動脈炎性と非動脈炎性の鑑別
概要
前部虚血性視神経症(anterior ischemic optic neuropathy; AION)は、視神経乳頭を栄養する短後毛様動脈の血流障害により、急性・無痛性の視力低下と視野欠損をきたす代表的な視神経疾患である。巨細胞性動脈炎(GCA)による動脈炎性(AAION)と、より頻度の高い非動脈炎性(NAION)の鑑別が最重要で、AAIONは僚眼失明・全身合併症を防ぐため緊急のステロイド治療を要する。
病態と分類
- 非動脈炎性(NAION):最多。「disc at risk」(小さく陥凹の乏しい混雑した乳頭)を素因に、夜間低血圧・睡眠時無呼吸・高血圧・糖尿病・脂質異常などが背景。PDE5阻害薬との関連も指摘。50〜70代に多い。
- 動脈炎性(AAION):巨細胞性動脈炎による。70歳以上に多く、視力低下は高度でしばしば失明レベル。放置すると数日〜週で僚眼も失明しうる。
症状と診断
- 共通症状:急性・無痛性の視力低下、水平半盲型の視野欠損、相対的求心性瞳孔反応異常(RAPD)、乳頭浮腫(AIONは前部なので必発)。
- AAIONを示唆する所見(見逃し厳禁):側頭部痛、顎跛行(噛むと顎が痛む)、頭皮圧痛、多発筋痛性リウマチ症状、発熱・全身倦怠、体重減少。視力低下が高度、蒼白な乳頭腫脹、僚眼にも切迫。
- 検査:
- 血液:赤沈(ESR)・CRP・血小板の上昇はGCAを強く示唆(緊急でオーダー)。
- 側頭動脈生検がGCA確定診断。側頭動脈エコー(halo sign)も補助。
- 視野検査、OCT(乳頭・網膜神経線維層)、必要に応じ画像で圧迫性・炎症性視神経症を除外。
- 鑑別:視神経炎(若年・眼球運動時痛・視力回復傾向)、圧迫性視神経症、後部虚血性視神経症。
治療
- AAION(GCA)は眼科・全身救急:疑った時点で高用量全身ステロイドを直ちに開始(生検を待たない。生検は数日以内なら診断可能)。視力低下例はステロイドパルスを検討。僚眼失明・脳卒中予防が目的で、以後長期に漸減。IL-6阻害薬(トシリズマブ)がステロイド減量に併用される。
- NAION:確立した有効治療は乏しい。ステロイドの有効性は議論があり一律には推奨されない。背景因子の是正(血圧・血糖・脂質管理、夜間低血圧を招く降圧薬の就寝前投与見直し、睡眠時無呼吸の評価・治療)が再発・僚眼発症予防に重要。禁煙。
- 経過中に僚眼発症のリスク(NAIONで対側にdisc at risk)を説明し、急な視力変化での受診を指導。
予後
NAIONは急性期の視力がある程度で安定することが多いが回復は限定的で、同一眼の再発はまれ、僚眼発症は数年で一定割合。AAIONは治療しなければ僚眼失明のリスクが高く、早期ステロイドで僚眼保護が期待できるが患眼の視力回復は乏しい。
まとめ
AIONは急性無痛性視力低下と乳頭浮腫を呈し、まず動脈炎性(GCA)を除外することが最優先。高齢者の顎跛行・頭痛・ESR/CRP上昇を見たら生検を待たず高用量ステロイドを開始する。非動脈炎性は背景血管危険因子の管理と睡眠時無呼吸・夜間低血圧への対応が中心となる。
主な参考:米国AAO/NANOS(北米神経眼科学会)関連指針/IONDT(NAIONの減圧術は無効を示した試験)/GCAのACR/EULAR分類基準・トシリズマブ(GiACTA試験)。診断・治療の詳細は専門医の判断・原著で確認されたい。
この記事は AI(手動(Claude+Web調査))が作成した解説です。 正確性を保証するものではありません。診療上の判断は必ず一次情報・成書をご確認ください。 (2026-07-22 作成)