視神経炎 —MS・NMOSD・MOGADの見分けと治療
定義と三徴
視神経炎(optic neuritis; ON)は視神経の炎症性疾患で、①亜急性の視力低下、②眼球運動時痛、③視力低下に不釣り合いなほど強い色覚異常(特に赤色の脱飽和)を三徴とする。多くは片眼性で、数日で最悪期に達し、その後回復に向かう。片眼性(または左右差のある)病変では相対的瞳孔求心路障害(RAPD)が陽性となる。
3つの病型を見分ける
治療方針が根本的に変わるため、以下の鑑別が最重要である。血清 抗 AQP4 抗体・抗 MOG 抗体は cell-based assay(CBA)で、可能ならステロイド投与前に採取する。
- 典型的(MS 関連)視神経炎:若年女性に多い。乳頭は正常のことが多く(球後視神経炎、急性 ON の約 2/3)、視力予後は概ね良好。脳 MRI の脱髄病変は多発性硬化症への移行を予測する。
- 抗 AQP4 抗体陽性(NMOSD):中年女性に多い。重症・再発性で視力予後が悪く、視交叉に及ぶ縦長の病変が特徴。生涯再発リスクとして扱う。
- 抗 MOG 抗体関連(MOGAD):両眼同時発症が多く、高度の乳頭腫脹・視神経周囲の造影増強が特徴。発作ごとの視力回復は良好だが再発しやすく、ステロイド依存の傾向がある。
検査
散瞳眼底(乳頭炎か球後か)、視野(中心暗点が典型だが多彩)、OCT(急性期の RNFL 肥厚 → 後の菲薄化、NMOSD で菲薄化が強い)、そして脂肪抑制・造影 MRI(眼窩+脳)は全例で行う。急性 ON の 9 割以上で視神経の造影増強を認め、増強の長さ・部位が病型鑑別に役立つ。非典型例では抗 AQP4・抗 MOG 抗体を確認する。
治療(病型で異なる)
- 典型的(MS 関連)ON:ONTT により、静注メチルプレドニゾロン(1g/日×3 日→経口漸減)は回復を速めるが最終視力は変えない。標準量の経口プレドニゾロン単独は再発を増やすため避ける。
- NMOSD-ON:高用量ステロイドに加え、重症・不応例では血漿交換を早期に検討。維持治療は補体(C5)・IL-6 受容体・B 細胞(CD19/CD20)を標的とする生物学的製剤など。一部の MS 治療薬は NMOSD を悪化させるため用いない。
- MOGAD-ON:ステロイドに良反応だが減量で再発しやすく、緩徐な漸減や IVIG などの再発予防を要する。
鑑別とレッドフラグ
前部虚血性視神経症(50 歳以上・無痛・高度別視野欠損)、圧迫性視神経症、Leber 遺伝性視神経症、中毒性・栄養性視神経症などを鑑別する。両眼同時発症、無痛または遷延する強い痛み、高度で回復しない視力低下、高度・出血性の乳頭腫脹、MRI で後方(視交叉)へ及ぶ病変などは典型例から外れるサインで、抗体検査と精査の契機となる。
まとめ
視神経炎は「典型的(MS)/AQP4 陽性 NMOSD/MOGAD」の見分けが治療を決める。全例で造影 MRI と抗 AQP4・抗 MOG 抗体(CBA・ステロイド前)を確認し、病型に応じてステロイド・血漿交換・維持免疫療法を選択する。
主な参考:Optic Neuritis Treatment Trial(ONTT, NEJM 1992 ほか)/2015 NMOSD 国際診断基準(Wingerchuk et al.)/2023 MOGAD 国際診断基準(Banwell et al., Lancet Neurol)/視神経炎の総説(PMC10397275 ほか)/収録記事: 急性後天性共同性内斜視(スマホ内斜視)(清澤眼科)
この記事は AI(手動(Claude+Web調査))が作成した解説です。 正確性を保証するものではありません。診療上の判断は必ず一次情報・成書をご確認ください。 (2026-07-14 作成)