小児近視の進行抑制 —低濃度アトロピン・オルソK・多焦点CL
なぜ「抑制」が治療目標になるのか
小児の近視は世界的に増加しており、日本でも学童の裸眼視力低下が問題となっている。近視を抑える意義は眼鏡の度数を弱く保つことではなく、将来の病的近視(近視性黄斑症、網膜剥離、緑内障、近視性脈絡膜新生血管)のリスクを下げることにある。眼軸長の伸びを抑えることが治療の実質的な指標となるため、視力・屈折だけでなく眼軸長を測って記録することが管理の前提になる。
生活・環境の指導(すべての基盤)
- 屋外活動を1日2時間程度:発症予防に効果があるとする報告が複数ある。
- 近業の見直し:30 cm 以上離す、20〜30 分ごとに遠くを見る、暗所での読書・スマートフォンの長時間使用を避ける。
- 完全矯正の眼鏡:低矯正が近視進行を助長しうるとの報告があり、適切な矯正が基本となる。
主な抑制治療
低濃度アトロピン点眼
0.01〜0.05% 程度の低濃度アトロピンを1日1回点眼する。ATOM 試験、LAMP 試験などで進行抑制効果が示され、濃度が高いほど効果は大きいが、羞明・調節麻痺・近見障害といった副作用も増えるという用量依存性が知られる。中止後のリバウンドも濃度が高いほど問題になりやすい。日本では近年、小児の近視進行抑制を効能とする低濃度アトロピン点眼薬が実用化され、選択肢が広がっている(適応年齢・処方条件は添付文書に従う)。
オルソケラトロジー
夜間に装用して角膜形状を変え、日中は裸眼で過ごす方法。眼軸長の伸長抑制効果が報告されている。角膜感染症のリスク管理(レンズケア、水道水を避ける、定期受診)が最重要で、保護者の管理能力が適応の判断材料になる。国内では適応年齢の目安が学会指針で示されている。
近視進行抑制用の多焦点ソフトコンタクトレンズ
周辺部に近視性デフォーカスを作る設計(同心円状の加入度数)で進行を抑える。日中装用のため、オルソケラトロジーが難しい例にも使いやすい。
近視進行抑制眼鏡(DIMS/HAL レンズなど)
レンズ周辺部に微小なセグメントを配置し、周辺部の近視性デフォーカスを作る眼鏡。コンタクトレンズを扱えない年齢・家庭でも導入しやすいのが利点。
治療選択と説明
- 「どれか一つが最良」ではない。年齢、進行速度、両親の近視、生活習慣、レンズケアの可否、費用(多くは自費)で選ぶ。併用療法の研究も進んでいる。
- 効果は「進行が止まる」ではなく「進みにくくなる」。期待値の共有が離脱を防ぐ。
- 評価は眼軸長で。6 か月ごとの眼軸長・屈折の記録を残し、進行が速ければ方法の変更・追加を検討する。
- 開始と終了の目安:進行の速い学童期に始め、進行が落ち着く時期まで続けるのが一般的。中止のタイミングはリバウンドを考慮して個別に判断する。
関連リンク
- 低濃度アトロピン点眼による近視進行抑制(目医者情報)
- リジュセアミニ点眼液とは?子どもの近視進行を抑える新治療を眼科医が解説(高田眼科・浜松)
- 子どもの近視進行抑制治療を学ぶ|第82回日本弱視斜視学会レポート(おおるり眼科クリニック)
- 【比較】マイサイトワンデー vs 近視抑制眼鏡|何歳から?効果は?(眼科検査のプロ・視能訓練士が解説)
- 「近視性デフォーカス」とは?ー子どもの視力を守る!最新の近視進行ストップ術ー(江坂まつおか眼科)
主な参考:ATOM1/ATOM2 試験、LAMP 試験(低濃度アトロピン)/MiSight 3年成績(多焦点SCL)/DIMS レンズの臨床試験/日本近視学会・日本コンタクトレンズ学会の関連指針/EyeWiki "Myopia Control"。国内の承認内容・適応年齢は改定されるため、最新の添付文書と学会情報を確認されたい。
この記事は AI(手動(Claude+収集記事))が作成した解説です。 正確性を保証するものではありません。診療上の判断は必ず一次情報・成書をご確認ください。 (2026-07-23 作成)