ドライアイの分類・診断・治療 —日本の定義とTFOT
定義と診断基準(日本・2016 年改訂)
日本のドライアイの定義(2016 年改訂)は、「様々な要因により涙液層の安定性が低下する疾患であり、眼不快感や視機能異常を生じ、眼表面の障害を伴うことがある」である。診断基準も同年に簡略化され、次の 2 項目をともに満たすものをドライアイとする。
- 自覚症状(眼不快感または視機能異常)がある
- フルオレセイン BUT(涙液層破壊時間)が 5 秒以下
かつての Schirmer 値・上皮障害の必須項目や「疑い」区分は廃止された。この基準で拾われる、涙液分泌はほぼ正常だが自覚症状が強い群を BUT 短縮型ドライアイという。
病態分類
- 涙液減少型(水分不足型):涙液分泌の低下による(シェーグレン症候群などが背景のこともある)。
- 蒸発亢進型:涙液の蒸発が亢進する。主因はマイボーム腺機能不全(MGD)による油層の機能低下で、ドライアイの主要原因の一つ。
近年は、フルオレセイン染色下で涙液層の破壊(break-up)パターンを観察し、不足している成分を油層・液層・上皮に分けて推定する TFOD(Tear Film Oriented Diagnosis/眼表面の層別診断) が用いられ、涙液減少型・水濡れ性低下型・蒸発亢進型のサブタイプ分類に役立つ。
検査
- 自覚症状:妥当性のある質問票(OSDI、日本語版 DEQS など)で評価する。
- BUT:涙液層の安定性の指標。フルオレセイン BUT 5 秒以下が診断要件。
- 生体染色:フルオレセイン(角膜上皮障害・BUT)、リサミングリーン(結膜・lid-wiper の障害)。
- シルマー試験:涙液分泌量(5mm 以下が涙液減少の目安)。必須ではないが涙液減少型の評価に有用。
- マイボーム腺評価:眼瞼縁の所見、開口部閉塞、圧出状態、マイボグラフィー(腺の脱落)。
治療(TFOT の考え方)
不足している成分を層別に補って涙液層を安定化させる TFOT(Tear Film Oriented Therapy/眼表面の層別治療) が基本である。
- 人工涙液・ヒアルロン酸点眼:基本の涙液補充。ヒアルロン酸は自覚症状・涙液安定性・上皮障害を改善する。
- ジクアホソルナトリウム(P2Y2 受容体作動薬):結膜からの水分分泌とムチン(分泌型 MUC5AC・膜型ムチン)産生をともに促す。人工涙液で効果が乏しい BUT 短縮型に有効。
- レバミピド(ムチン産生促進):杯細胞由来の分泌型ムチンや膜型ムチンを増やす。※詳細な作用機序には不明点が残る。
- 涙点プラグ:涙液を保持し、特に涙液減少型で有効。
- MGD(蒸発亢進型):温罨法・眼瞼清拭(リッドハイジーン)が基本のケア。
ジクアホソル・レバミピドは水分・ムチンに作用する点眼として本邦で先駆けて使用可能となり、従来治療で効果が乏しい症例の選択肢となる。
生活指導
長時間の VDT 作業・喫煙・低湿度環境(空調の風)はドライアイの危険因子。VDT 時は瞬目が減り開瞼幅が広がって蒸発が増えるため、適切な休憩・意識的な瞬目・モニターをやや低い位置に置くなどの指導が有用である。軽症ではまず生活・環境の調整から始める。
まとめ
日本のドライアイは「自覚症状+ BUT 5 秒以下」で診断し、涙液減少型・蒸発亢進型(MGD)を軸に病態を評価する。TFOT の考え方で、ヒアルロン酸・ジクアホソル・レバミピド・涙点プラグ・眼瞼ケアを病態に応じて組み合わせ、生活習慣の見直しも並行する。
主な参考:ドライアイの定義と診断基準(2016 年改訂、ドライアイ研究会)/ドライアイ診療ガイドライン(日眼会誌 2019)/TFOS DEWS II(2017)/Yokoi らの TFOD・TFOT。薬剤の詳細な作用機序や MGD への推奨度は原著・専用指針で確認されたい。
この記事は AI(手動(Claude+Web調査))が作成した解説です。 正確性を保証するものではありません。診療上の判断は必ず一次情報・成書をご確認ください。 (2026-07-14 作成)